クレジットカードについてよく聞く声が、「金銭感覚が狂いそう」というもの。
支払いが遅れてやってくるので、たくさんお金が残っているような感覚で使いすぎてしまい、気が付けば支払いに困ってしまうということを恐れての反応ですね。
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そうした人は、使うとすぐに引き落としがかかるデビットカードを持ちたいと思うのではないでしょうか。ですが、そうした安易な理由だけでデビットカードを選ぶのにはリスクもあります。
今回は、クレジットカードとデビットカードの違いをまとめつつ、どういう人がどちらを選ぶべきなのかについて考えていきましょう。
目次
クレジットカードとデビットカードの違い
まずは、クレジットカードとデビットカードの違いを改めて確認していきましょう。
この両者は、主に以下のような点で違いがあります。
- 引き落としがかかるタイミング
- 銀行口座との連携の有無
- 審査の有無
- 持つことができる年齢
それぞれ詳しく説明していきます。
引き落としがかかるタイミング
クレジットカードとデビットカードの違いとして多くの人が認識しているのがこれでしょう。
クレジットカードは、一ヶ月分の利用代金をまとめて月末に支払うのが一般的です。分割払いやリボ払いを利用すれば代金の一部の支払いを遅らせることが可能ですが、いずれも利用代金がまとめて請求される点は変わりません。
一方のデビットカードでは、利用代金は即座に銀行口座から引き落とされます。したがって銀行口座の残高より多い金額の支払いは行うことができません。
たとえ使いすぎてしまっても、口座の残高以上に利用してしまうことがないという点が、デビットカードの魅力として広く浸透しているものですね。
さらに言えば、口座の残高がリアルタイムで減っていくのが確認できるので、買い物をしようと思ってもATMからお金を引き出すことが憚られます。現金派の人にとってはこの点がメリットと言えるでしょう。
銀行口座との連携の有無
クレジットカードはクレジットカード会社などの業者から提供されるものですが、デビットカードは銀行から発行されるのが基本です。
銀行口座から即時に引き落とすというシステム上、提供元も銀行となっているのですね。
審査の有無
クレジットカードを持つためには、信用情報を確認するための審査のステップがどうしても必要になります。グレードが高く、より多くの金額を利用できるクレジットカードは、そのぶん利用者に求められる支払い能力も高くなり、審査が厳しくなります。
クレジットカードの審査については、以下の記事で詳しく書いています。

一方でデビットカードはその仕組み上、銀行口座の残高以上の額を利用することができません。そのため支払い能力をチェックする必要がなく、審査も不要となっています。
持つことができる年齢
前述の通り、クレジットカードには審査が必要なので、カードによって持つことができる年齢が定められています。例えば楽天カードなどは「18歳以上(高校生不可)以上」という年齢制限ですが、ステータスカードとして有名なダイナースは「27歳以上」という決まりがありますね。
しかし、デビットカードはもっと若い人でも持つことができます。具体的には15~16歳以上(中学生不可)となっているところがほとんど。
まだクレジットカードを持つことができない年齢の人にとって、デビットカードは便利な存在ですね。
デビットカードの弱点
使ったお金が即座に引き落とされる点に魅力を感じて、デビットカードを使いたいと思う人は少なくないでしょう。
しかし、デビットカードにも弱点はあります。申し込む前にこちらも確認しておきましょう。
ポイント等の特典がクレジットカードより弱い
クレジットカードの場合は0.5~1%くらいのポイント還元であることが多いのですが、デビットカードの場合は0.5%に満たない還元率のカードも少なからず存在します。
クレジットカードは加盟店から手数料を徴収しているので、ポイントとして還元するための原資を持っているのですが、銀行にはそれがないので、還元率が比較的低いのは仕方のない部分と言えますね。
後払いとなる点に抵抗がないのであれば、クレジットカードを選んだ方がお得になる可能性が高いのは間違いありません。
一部で利用できないことがある
デビットカードはその仕組み上、一部のサービスで利用できないことがあります。代表的なものとしては、高速道路やガソリンスタンドが挙げられますね。
こうしたサービスの多くでは、カード情報を利用金額の決定に先立って読み取るので、カードを通した瞬間の即時引き落としができないのです。
また、加盟店に設置されているシステムの問題でデビットカードを受け付けられないこともありますし、システムに問題がなくても、連携している口座が時間外の場合にはデビットカードの利用ができない可能性があります。
つまり、利用しやすさを考えるとクレジットカードに軍配が上がるということですね。
なお、デビットカードではETCカードの発行もできませんので、車に乗る人は注意しておいてください。
返金時に時間がかかる
ネットショッピングで返品を行った際などは、デビットカードだと返金までに時間がかかる場合があります。
時間がかかるだけなら良いのですが、一時的に二重引き落としの状態になることもあるというのは隠れたデメリットかもしれませんね。
以下は楽天市場のヘルプページからの引用ですが、こういったことが起こるリスクを知っている人はあまり多くないのではないでしょうか。
デビットカードでの決済をお選びいただいた場合、
お客様のカードがご利用いただけるか(=有効性)を確認した時点で口座より引き落としされます。
そして、その後に注文内容の変更等により利用金額が変更となりますと再度カードの有効性を確認いたしますので、
利用金額変更分全額がさらに引き落としされます。変更前に一度引き落としを行った利用金額分は返金されますが、その返金までに45日前後かかる場合がありますので、
一時的にご返金までの間二重引き落としの状態となります。
引用元:【楽天市場|公式ヘルプ】デビットカードで決済したら二重に請求された
Visaデビットカードのページにも、注意点として以下のような記述があります。
商品返品時のご返金には日数を要します(通常1週間程度、最大75日程度)。返金の時期についてはご利用店舗ではわかりませんので、発行銀行までお問い合わせください。
引用元:Visaデビット | Visa
少額なら良いですが、金額が大きいと返金までに時間がかかるのは不便に感じることもあるでしょう。デビットカードを使うなら、あらかじめ知っておきたいポイントです。
セキュリティ面の安心度がクレジットカードに劣る
デビットカードは、利用した瞬間に口座から金額が引き落とされるというのが特徴です。これは裏を返すと、不正利用された場合にも即座に口座から引き落としが行われるということです。
クレジットカードの場合は、不正利用が認められればチャージバックによって売上の取り消しが行われます。加盟店的には嬉しくないですが、カード利用者としては金銭ダメージがなくなるので安心です。
しかしデビットカードの場合は、気付いた時には引き落としが完了しています。もちろん補償は用意されていることが多いですが、条件があるので結果として損をしてしまうリスクもあります。
使いすぎを危惧してデビットカードを使っていたら、不正利用で大ダメージをくらってしまった、ということになったら目も当てられませんよね。
そもそも口座に多額の現金が入っていたら、デビットカードの「口座残高以上は使えない」というメリットも薄れます。そういう人はクレジットカードを選んだ方が安心だと言えるでしょう。
おすすめのデビットカード3選
上記を確認したうえでデビットカードを持ちたいという方に、おすすめのデビットカードを3枚紹介します。
楽天銀行デビットカード
楽天銀行が発行するデビットカードである楽天銀行デビットカードは、ポイント還元が1%とデビットカードの中では群を抜いて高い還元率を誇っています。
JCBとVisaがあり、Visaはさらに以下の3種類に分かれています。
種別 | 年会費 | 特典 |
楽天銀行ゴールドデビットカード(Visa) | 5,400円 | 国内/国外旅行傷害保険 ショッピング保険 Visaゴールド優待特典 |
楽天銀行シルバーデビットカード(Visa) | 2,160円 | ショッピング保険 Visaゴールド優待特典 |
楽天銀行ベーシックデビットカード(Visa) | 無料 | 盗難補償 |
無料で持つことができるのはVisaのベーシックデビットカードとJCBのデビットカードです。シルバー以上を持つならクレジットカードとして楽天ゴールドカードを持った方がポイント面などがお得(※)なので、多くの人はこの無料のどちらかを選ぶことになると思います。
※SPUにより、楽天ゴールドカードを持っていると楽天市場のポイントが+2倍になるため。ポイントを稼ぎたいなら、そもそも楽天クレジットカードの方がお得(デビットカードはSPU対象外)。
16歳以上なら申し込むことができるので、クレジットカードを持つことができない年齢の人でも利用できますね。
「デビットカードを持ちたいけど、ポイントも最大限欲しい!」という人はこの楽天デビットカードを検討しましょう。
GMOあおぞらネット銀行のVISAデビット付きキャッシュカード
あおぞら銀行グループとGMOグループの強みが組み合わさった「GMOあおぞらネット銀行」が発行するこちらのカードは、0.6%という高キャッシュバックが魅力のデビットカードです。
預金残高や利用額によって判定されるステージ次第では、最大キャッシュバック率が1.5%にもなります。ここまでくると普通のクレジットカードよりお得になることすらあるでしょう。
さらに、他行あて振込手数料が無料になる回数などもステージが上がると増えていきます。
キャッシュバック率1.5%などを誇る「4テックま君」というステージになるためには、「外貨普通預金残高500万円以上」あるいは「Visaデビットご利用額100万円以上」という条件を満たす必要があるので、こちらを満たせる人にはおすすめのカードです。
または、ポイントではなくキャッシュバックで還元されるカードが欲しいという方にも良いですね。
イオン銀行CASH+DEBIT
イオン銀行が発行するこちらのカードは、キャッシュカード・デビットカード・WAON(電子マネー)の3つの役割が1枚に集約されている非常に便利なカードです。
イオン系ならではの以下のメリットがあり、日々の生活がお得になります。
- イオン銀行の普通預金金利が最大0.15%(税引前)
- イオングループ対象店舗なら1%のポイント還元
- お客様感謝デー(毎月20日と30日)に対象店舗での買い物が5%OFF
- イオンシネマの映画料金が300円引き
特に普通預金金利の高さは目を見張るものがありますね。この金利や他行あて振込手数料無料回数などの特典は「イオン銀行Myステージ」というステージ制によって決まるので、端的に言えばヘビーユーザーほどお得になります。
普通預金金利が税引前0.15%になるプラチナステージはかなり条件が厳しめなのが玉に瑕。以下のページでステージシミュレーションができるので、検討している人は一度試してみると良いでしょう。
日頃利用するお店がイオン系で、かつデビットカードが欲しいという方におすすめできるカードになっています。ただ、国際ブランドがJCBのみである点には注意してください。
まとめ
デビットカードの多くは高校生でも持つことが可能で、かつ審査も不要なので、キャッシュレス生活を行いたい若年層におすすめできるカードです。
また、口座に入っている額までしか使用できないという点は、使いすぎを危惧する多くの人にとって魅力的でしょう。
一方で、お得さで言えばクレジットカードに見劣りする部分も多く、不便なところもあります。使い過ぎが心配なだけであれば、クレジットカードでショッピング枠の制限を行うなどした方が良いケースもありそうです。
自分にとって必要なのはデビットカードなのかクレジットカードなのかをしっかり検討し、それでもデビットカードが良いという場合にのみ選ぶようにしたいですね。