クレジットカードのICチップの役割は?メリットとデメリットも解説

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クレジットカードのICチップ

クレジットカードにちょっと詳しい人なら知っているかもしれませんが、クレジットカードにはICチップが付いているものと付いていないものがあります。

実はこれ、カードのセキュリティに大きく関わるものなのですが、その役割を正しく理解している人はどのくらいいるでしょうか。

今回はクレジットカードのICチップと、そのICチップを使った決済について詳しく解説をしていきます。

クレジットカードのICチップの役割

クレジットカードにICチップが付いていると、店舗でクレジットカード払いをする時に、よりセキュリティの強い「IC取引」を行うことができます。

クレジットカードの決済端末

IC取引

ICチップの付いていないカードでは、磁気ストライプを使用した取引しか行うことができません。この取引ではカードをスキャンした後にサインをすることで決済ができますが、サインが偽装されてしまったり、そもそもカードにサインがされていなかったりすると、カードを不正に入手した第三者に不正利用されてしまうリスクがあります。

また、この方法ではスキミングによってカード情報を盗み取られてしまう危険性があります。カードが複製されてしまえば、気付かない内に自分のカード情報で決済が行われていたということになりかねません。

一方のIC取引では、カードのICチップを読み取った後に暗証番号を入力するという取引の流れとなります。暗証番号を知らなければ取引ができませんので、不正利用を防げる可能性が高まるのです。

ICカードは複製も非常に難しいので、磁気ストライプのみのカードに比べてセキュリティが強くなっているのですね。

ICチップ付きクレジットカードを持つメリットとデメリット

クレジットカードにICチップが搭載されていることのメリットとデメリットをまとめました。

メリット

主なメリットは以下の2点です。

  • セキュリティが強化される
  • 決済時のサインが不要になる

ICチップ搭載の最大のメリットは、何と言っても前述のセキュリティ強化でしょう。第三者による不正利用は誰しもが避けたいものなので、セキュリティが強いに越したことはありません。

また、店舗でクレジットカード支払いを行う際、サインの代わりに暗証番号の入力で決済ができるようになるのもメリットです。

特に漢字フルネームでサインをしている場合などは、サインは面倒ですし時間もかかります。暗証番号の方が簡単でスムーズなので嬉しいですよね。

スムーズな決済手続きを行う上でも、IC取引にはメリットがあるのです。

デメリット

一方、デメリットとして挙げられるのは以下の2点です。

  • 暗証番号を管理しておかなくてはいけない
  • ICチップ非対応端末ではIC取引ができない

まず、決済時に入力するため、暗証番号をしっかりと記憶しておく必要があります。漏洩は絶対に避けなければいけませんので、どこかに書いておくというようなことはできません。

暗証番号を他人に伝えて不正利用された場合は、被害額が補償されない危険性もありますので、自分ひとりで記憶・管理をしていく必要があるのです。

以下の記事も併せてご確認ください。

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実際にJCBカードの公式サイトでも、以下のような記述があります。

暗証番号が使用された場合のカードご利用代金は、たとえ第三者の利用であっても、暗証番号の管理義務違反とされ原則本人請求となりますので、暗証番号は厳重に管理してください。

引用元:カード取り扱いの注意とお願い|クレジットカードなら、JCBカード

しかし、暗証番号はそもそもIC取引をするかどうかに関わらず管理しておく必要があるものなので、追加で負担がかかるものではありません。普段から覚えている暗証番号を使うだけだと思えば、そこまでデメリットにはならないでしょう。

その他のデメリットとしては、お店にあるクレジット決済端末が非対応の場合、IC取引を行えないという点があります。

ただ、その場合は磁気ストライプによる取引となるので、支払いができないというわけではありません。さらに、現在日本国内ではIC対応端末を推進する動きがあるので、この不便は今後解消されていくでしょう(詳しくは次項で解説します)。

国内ではICチップ搭載が推進されている

クレジットカードをより安心・安全に使用していくため、国内ではクレジットカード決済のIC化が推進されています。

カードのIC化への動き

クレジットカード業界では、2020年3月までに100%のIC化を実現するという目標に向けてICクレジットカードの発行が進んでいます。

この動きについては、クレジット取引セキュリティ対策協議会が策定した「実行計画2018」というものに詳しく書かれています。

我が国のクレジットカード取引は、いまだ磁気情報での取引が大半を占めており、犯罪組織等がその情報を窃取し偽造カードを生成して不正に利用される被害が後を絶たず、その対策として IC 取引を推進することが喫緊の課題である。

クレジットカード業界においては 2000年代から ICクレジットカードの発行を進めているが、クレジットカードの IC 化率は 2017 年 12 月末時点で、2020 年 3 月までに 100%IC 化する目標に対し、77.3%13となっており、2020 年 3 月に向けて早急に取組を進めていくべきである。

引用元:クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画-2018-【公表版】

こうした背景があり、各カード会社もIC化への取り組みを進めていますね。例えば楽天カードでは以下のようなアナウンスが行われています。

楽天カードでは、お客様にこれまで以上に安心・安全にご利用いただくため、各種カードにICチップを搭載する取り組みを進めています。

引用元:楽天カード: カード偽造防止ICチップの搭載について

業界全体としてIC化に取り組んでいますので、数年後にはほぼすべてのクレジットカードがIC化されるでしょう。

読み取り端末のIC対応化への動き

既に述べたように、クレジットカードのIC取引はカード・決済端末の双方がIC対応をしていなければ行うことができません。そのため、カード側のみならず、決済端末を設置する加盟店側にもIC化推進の波が及んでいます。

前述の「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画-2018-【公表版】」によると、加盟店のIC対応端末導入は「軽減税率対策補助金」の支援対象となっているため、中小加盟店でのIC端末整備は進んできているとのことです。

実際に、コンビニエンスストアのローソンでも2018年1月末からカード決済がIC取引になっていますね(※)。

※参考:ローソン、ICチップのカード決済開始 18年1月全店で、偽造カードの使用防止:日本経済新聞

これらの対応が遅れると、先に100%IC化となった外国でカード不正利用ができなくなった犯罪者が日本で不正行為を働く危険性があるので、早急な対応が呼びかけられているのです。

これまで磁気ストライプを使用した取引を行っていた加盟店も、順次IC対応端末の導入が進んでいくでしょう。

まとめ

磁気ストライプ取引よりもセキュリティレベルが高いIC取引は、世界的にクレジットカード決済におけるスタンダードになりつつあります。

日本でも2020年3月までに100%IC化という目標があるので、数年の内にはどこでもIC取引が行えるようになることが予想できますね。

カード利用においてはセキュリティが高いに越したことはありません。ぜひこの機会にカードのセキュリティについて意識を向けてみてください。

なお、三井住友VISAカードはICチップだけでなく顔写真もクレジットカード上に載せることが可能です。これにより不正利用のリスクがさらに減るので、セキュリティを重視したい人は検討してみてはいかがでしょうか。

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